社長流星

手塚マキ×流星[THE対談 Vol.06]

ホスト界のレジェンド「流星」がナビゲーターとなって、カリスマたちと対談。今回のゲストは、斬新すぎる発想で次代を担う歌舞伎町の風雲児こと、スマッパグループ会長の手塚マキさん。2人が見据えるホストの行く末、歌舞伎町の未来とは?

最初の出会いは最悪だった!?

流星:マキとの最初の出会いは、元フェイズグループの1店舗目のフェイズを立ち上げたばかりの頃に、マキが店に来たんだよね。

手塚マキ(以下、マキ):え、全然覚えてないですね。

流星:男の子4人位で飲みに来てて、酔っぱらった延長で来てるからうるさくて。「何しに来たんだよ」って怒り気味に言ったらパーッて帰っていったことを覚えてる。だからマキとの最初の出会いは最悪だったよ(笑)。

マキ:あははは!

流星:決して悪いことをしていたわけじゃないけど、なにせこっちは営業中なわけで、ちょっとね。基本はウェルカムなんだけど、仕事の邪魔はされたくないなと。結局、あれの狙いはなんだったの?

マキ:覚えてないけど、たぶん嫌がらせですよね。

流星:ははは(笑)。昔の歌舞伎町って自分の店以外は全員敵みたいな時代だったしね。

マキ:みんなライバルだし、やっぱり売れっ子同士ってお客様が被るじゃないですか。何をそんなヘラヘラよくできるなと思っていて、僕は同業付き合いをしていなかった。あとはなんていうかメンツ勝負みたいな。特に当時のホストはメンツ商売だったから、なめられたら商売できないということで、いろんな所に若い奴らで乗り込むっていうのをよくやってましたね。

流星:最初はすごく良いこと言ってたんだけど、後半はまあ自分勝手な話(笑)。

マキ:そうですね。でも効果はあった気がしていて、若くしてお店をやったので、あそこは面倒くさいぞと思われるように仕向けていたというか。

流星:それはわざと作っていたわけだ。

マキ:意識的に「スマッパと絡んだら面倒くさい」って思われてたほうが楽だなっていうのはあったんで。ちょっとした揉め事とかも意図的に大きくしたりとかしてましたね。流星さんの面白いところっていうか、こういう雰囲気なのに結構気が強いんですよね。だからなめられたら商売にならないって、ちゃんと分かってる古いタイプの人。だからそこは多分、僕と考えが合ってたのかもしれないですね。

先を見据えた戦略家マキは歌舞伎町の宝物

流星:経緯は覚えてないけど、考えがしっかりしている人間が好きだから、マキとはそれからちょこちょこ会うようになったよね。歌舞伎町の情報を知ることも大事だし、同業付き合いの延長であっても、本物の仲間って、営業時間中に遊ばないと僕は思う。限られた大切な営業時間中に遊んで友達ですって、それ違うじゃん(笑)。

マキ:うんうん。最初は流星さんには結構しつこく誘われた記憶がありますね。

流星:マキとは、もう業界を離れた共通の知人の家に遊びに行ったりとか、そういうことするうちに仲良くなって。

マキ:あー、だからなんか新宿以外で流星さんの車に乗った記憶ありますよ。ハマーか何か。ちゃんと車の中でもパンフレット置いて、プロモーションとかしてたの覚えてます。だから当時のフェイズの戦略って頭一つ抜けてたと思いますよ。ちゃんと企業だった気がしますね。そこに関しては僕も見習いたいと思っていたし、流星さんは多分そこにシンパシーを感じてくれてたんだと思うんですよね。うち(スマッパ)とか流星さんのフェイズが唯一、歌舞伎町以外を意識してマーケット戦略をしてたんじゃないですかね。

流星:ちゃんとしてたって自分たちで言うのも変ですけど、そういう部分ではマキにはそれを感じてたね。「あ、こういう子いるんだなー」って。だから綺麗事に聞こえるかもしれないけど、マキは歌舞伎町の宝物だと思ってるから。

マキ:俺、トレジャーっす(笑)。

経営者と現役に上も下もない

マキ:僕は結構ね、大事な存在だと思ってるんですよ、流星さんを。流星って名前でずっと生きてるっていうのがデカイ。

流星:あー、なるほどね。

マキ:それは、経営者になってからもそうだった。そこであえて経営者とか、俺は現役じゃないからって顔をしない。これは見習う部分ですよ。僕現役じゃないんで、みたいな奴いっぱいいるじゃないですか、あれがダサイ。

流星:うんうん。

マキ:経営者であれ現役であれ、僕ら「ホスト」っていうのは逃れられないスティグマみたいなものですから。ちゃんとそれを受け入れて、そのうえでどうやってかっこよく見せるかを考えているほうが、僕はかっこいいと思うんですよね。

流星:僕もそう思うよ。

マキ:もっと言えば経営者も現役も1つの仕事であって、そこに上も下も絶対ない。オーナーが偉いとか、代表が偉いとかっていうよりも、役割の違いなだけ。逆に経営者なんて日本中に腐るほどいるし、歌舞伎町にだって腐るほどいる。その中で、じゃあどれだけ特別な経営者がいるかっていったら別に全然いないし、日本中の経営者の中で。もっと言っちゃえばホスト業界の中の経営者なんて、たかだか売り上げ数十億。100億、200億だとしても日本中で見れば腐るほどいるわけで。そのレベルの話と比べれば、僕は現役で、いまだに20年以上も歌舞伎町で仕事をして、フロントに立っている人のほうが100倍レアな価値だと思うんですよ。それなのに、なんかホストを長くやってることに対する良さやメリットが少ないっていうのは、結局のところ、所詮水商売は何かを得る場所じゃなくて、自分自身も、男も女も、普段の日常では接しないような若い人から若いエキスを吸うみたいな固定概念から離れてないから、多分みんながそういう意識になっちゃうんだと思うんですよね。

流星:マキが言うように、本当に役割の違いなんだよね、経営者とオーナーとプレイヤーと。で、プレイヤーがちゃんと胸張って誇れるような文化は作りたいし。僕は今45歳で先頭に立ってるというか、代表といえるような道を作ることによって、次に自分の目線が変わったときに、マネージメントしやすくなるんだよね。もっと自信持てよ、いろいろ言い訳するなよって。そういう意味では、プレイヤーが誇れるような関係を作りたいなと。とはいえ悲しいことに、我々の世界の売り上げの立て方って、エスコートのプロとしての上げ方もあるけど、ヒモとしての上げ方もあるじゃない。ヒモを求めるお客様もいるし、食べていけない子たちも実際いるし。それを強制はできないよね。

マキ:流星さんは結構それに関しては昔から寛容ですよね。僕そこに関しては理想論で良いと思ってて。だって自分の生きる場所で、自分で生きてる世界が理想論に向かってなかったら嫌ですから。だから悪い売り方をするような子がいて、その子がその先に何かを見てるなら良いんですよ。でも売れるだけがゴールであるというのは絶対に違う。

流星:でも人間さ、お金がないとさ、悲しいけど人に優しくできないのが現実じゃない?

マキ:お金が心に余裕を生むということはあるとは思う。でも根本的ではない。お金が存在しない時代だって人は人に優しく出来たんだから。売れない奴はゴミ、お金がない奴は価値がないっていう教育は、本当にこの業界から無くさないといけないと思う。

流星:初めてお金を持って自分が何かできるんだっていう自信を持って、初めて人に優しくなれるし、悪いことしちゃだめなんだって思うから。やっぱりまずは本当にお金がないからこそいろんなことをしてきた子たちがお金を持つというのは、次のステージに行くに大事なことだなって。ただ、お金を持っても使い方を知らないから、今度はお金の活かし方を教えてあげることが必要だけどね。
ホスト業界にアツイ想いを抱く2人。ここでは語り尽くせないほど内容の濃い取材となりました。
ホスト業界にアツイ想いを抱く2人。ここでは語り尽くせないほど内容の濃い取材となりました。

若いホストたちへ言っておきたいこと

マキ:やっぱり誇りを持てる日々を過ごしてほしいですね。自分自身に恥じないようにというか。なんのためにこの業界に入ったのかって、「金のためです」なんていうんだったら絶対みんなマルチ商法でもやったほうが良い。マルチ商法でやるような自己啓発セミナーがホスト界で流行っているみたいだけど、それよりもホストという仕事自体の価値を上げるような教育をしてほしい。流星さんみたいに接客業、水商売ということに誇りを持てるようになってほしい。。ホストやサービスということを真剣に考えていた人たちがいるからこそ、やっぱり今のこの業界があるわけだし。自分たちがこのあとお金を稼いで、将来何かしたいって言ったときに、「所詮ホストで貯めた金なんでしょ」って言われる業界であるのか、「そこを乗り切ってきたんだからそれは凄い能力が付いてるよね」って言われるのかは、これから作っていく業界次第だと思うんですよ。だからそれは多分、誰かがやるとかではなく、本当に1人1人の意識が大事だと思う。

流星:本当に自分の人生の大事な時間を使ってこの仕事をして、自分のなりたい自分、夢を叶えようとしてるわけだからね。もちろん将来が見えない、どうしていいか分からない子は、とりあえず目の前のことを一生懸命頑張る。自分の大事な人生の時間枠を使うからこそ、 俺はホストやってて良かった、ホストやってたから今があるんだっていう生き方をして欲しいな。
手塚 マキ(Smappa! Group)
新宿・歌舞伎町にホストクラブを6店舗を構える「Smappa! Group(スマッパ!グループ)」の会長。そのほか飲食店やヘアメイクサロン、本屋やデイサービス事業なども展開。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。ボランティア団体「夜鳥の界」リーダー。ワインのソムリエ資格も持つ。